受験生はプレッシャーやストレスを感じることが多く、メンタルヘルスが乱れることがあります。

メンタルヘルスとは心の健康という意味です。

体の健康は維持できても、メンタルヘルスが不安定な状態になると、受験うつなどの心の病気にかかる可能性があり危険です。

そこで、この記事では、メンタルヘルスの定義やセルフチェック、セルフケアの方法について解説します。

メンタルヘルスを維持して、受験を乗り越えましょう。

 

メンタルヘルスの定義とは?

WHO(世界保健機関)によるメンタルヘルスの定義は、このようになります。

 
「自己の能力を発揮して、日常生活のストレスに対処し、生産的に働きながら、地域への貢献ができる満たされた状態であること」
出典:ICN 所信声明「メンタルヘルス」
 

メンタルヘルスとは心身ともに健康な状態であり、自身のコミュニティに貢献できる状態を意味しています。

しかし、心の状態は本人でも分からないことがあり、どのような状態がメンタルヘルスの観点から危険なのか前兆や症状について理解する必要があります。

 

心の病気は誰でもかかりうる

厚生労働省によると心の病気にかかる人が増加しており、生涯を通じて5人に1人の割合で心の病気にかかるとされています。

このような状況から、心の病気は誰でもかかる可能性があり、他人事と考えるのは危険です。

心の病気は本人や周りの人も気付かないうちに、ゆっくりと心を蝕んでいきます。

食事量が減った・眠れない・趣味や好きなことが楽しいと感じないなど不調を感じたら、心の病気を疑うべきかもしれません。

家族や友達など周囲の人に相談するか、専門医に診てもらうなど早めに対応しましょう。

 

メンタルヘルスが不十分だと受験うつになる恐れがある?

メンタルヘルスは、さまざまなストレスにさらされる受験生も意識しておく必要があります。

近年、受験へのストレスから受験うつと呼ばれるうつ症状に悩む受験生が増加しています。

受験うつの種類と発症原因について解説します。

 

プレッシャー型受験うつ

プレッシャー型受験うつは、親や教師など周囲の人から受ける期待がプレッシャーとなって発症します。

成人がうつを発症すると、悲しみなどのネガティブな感情に支配されるのが一般的ですが、思春期である受験生の場合、周囲の人たちに敵意を持ち、イライラや欲求不満を募らせる怒りの感情に支配されやすくなります。

この他に家出を示唆するような言葉や行動を取ることがあります。

これは、敵意など怒りの感情を周囲に放ちながらも現状から逃げ出したい・助けてほしいというシグナルを同時に発信します。

 

モチベーション喪失型受験うつ

モチベーション喪失型受験うつは、勉強へのモチベーションを失っていき、同時に合格への自信も失うことで発症します。

このタイプのうつは勉強しているのに成績が上がらず、思ったような結果が出ない状況が続くことで「自分は何をしてもダメなんだ」と、自信を失っていき、自己肯定感が低くなっていきます。

批判や失敗に対して敏感になり、自分は何をしてもダメと思い込んでしまっているため、受験勉強をする意味が見い出せなくなっていきます。

以前はできていたこともできなくなっていき、勉強をしなくなる・学校や塾を休むようになるなど、悪循環に陥っていきます。

 

比較・競争型受験うつ

このタイプは友達や同級生と自分のテストなどの成績を比較して、自分が優れていることではなく、劣っているところに注目して、劣等感を持つことで発症します。

成人がうつを発症すると、人と距離を取って孤立していきますが、思春期の受験生の場合は友達とのつながりを持ったままであることが多いと言われています。

しかし、抱えている問題から目を背けるためにネット依存に陥りやすく、徐々に孤立していき、うつの症状が悪化していきます。

 

自分がメンタルヘルスにあてはまるかセルフチェックしよう!

以下の5つの項目に当てはまる行動をとっていないかセルフチェックしてみましょう。

当てはまるものがあれば、メンタルヘルス対策が必要です。

 

生活リズムの乱れ

夜遅くまで勉強していることはありませんか?

夜は静かなので勉強がはかどるかもしれませんが、学校がある間は睡眠時間が減り、夏休みなどの長期の休みに昼夜逆転の生活を過ごすと、元の生活リズムに戻すのが大変です。

生活リズムが乱れるとイライラしやすくなる・不安を感じやすいなどメンタルが不安定になります。

体調面でも頭痛やめまいなどの症状が出ることがあり、勉強に集中するのが難しくなります。

 

太陽光を浴びない

受験中は学校や塾、予備校などでかける回数は多くても室内にいることが多くなるため、太陽の光を浴びる機会が減ります。

太陽光を浴びる機会が減るとメンタルが不安定になる可能性があります。

太陽光を浴びないとセロトニンと呼ばれる脳内神経伝達物質の分泌が減少して、ストレスが溜まりやすくなる・イライラしやすくなります。

室内灯の明かりでは精神を安定させるのに十分なセロトニンが分泌されないため、少しずつメンタルが弱まっていきます。

 

偏った食生活

カップラーメンやおにぎりで簡単な食事で済ませる、夜食を食べたせいで朝食が食べられないなど、栄養が偏った食事や食事時間がバラバラになるとメンタルにも影響を及ぼします。

このような食生活が続くと、ビタミンやミネラルなど必要な栄養が不足して脳の働きが低下します。

また、風邪を引きやすくなるなど体調不良の原因にもなります。

メンタルヘルスの面でも良い状況とは言えず、早急に見直す必要があります。

 

運動する機会の減少

受験勉強中は机に向かって長時間、同じ姿勢が続きます。

同じ姿勢を毎日繰り返し、動きも少ないと肩や首がこり、筋肉も衰えるため、腰痛の原因になる恐れもあります。

身体を動かしてないことを自覚して、適度に運動すればある程度は解消されますが、定期的に運動しないとその場しのぎでしかありません。

また、身体を動かすことでストレスを発散できますが、その機会が減るため、ストレスが溜まりやすく、少しずつメンタルのバランスを崩していく恐れがあります。

 

受験勉強しかしていない

受験生は受験勉強をするのが当たり前ですが、受験勉強しかしていないのは危険です。

受験中は趣味や友達と遊ぶことなど、さまざまなことを我慢しなければいけません。

受験が終わるまでの我慢と分かっていても、ストレスは溜まっていきます。

趣味や友達と遊ぶ時間はストレスを吐き出す・発散する機会でもあり、その時間がなくなるとストレスを発散できなくなり、少しずつメンタルのバランスを崩していく恐れがあります。

 

メンタルヘルスをセルフケアする方法は?

メンタルヘルスはセルフケアが重要です。

セルフケアの方法を5つ紹介します。

 

生活リズムを整える

早寝早起きは健康に良いと言われていますが、メンタルヘルスも同じです。

高校生は少なくとも7時間の睡眠時間が必要です。

睡眠時間が不足すると疲労が回復しきれず、脳の働きも低下します。

この状態では効率の良い勉強ができません。

7時間の睡眠時間を確保して、翌朝、時間に余裕を持って行動できるように就寝時間を決めましょう。

毎日、同じ就寝時間と起床時間で過ごすことで体内時計が安定します。

疲労を持ち越さずに脳の働きも良い状態で過ごせるため、メンタルが不安定になりにくくなります。

 

太陽の光を浴びる

太陽の光を浴びないと、セロトニンの分泌が減少してストレスが溜まりやすくなりますが、逆に太陽の光を浴びる機会が多ければ脳内神経伝達物質のセロトニンの分泌が増えるため、メンタルヘルスには有効です。

室内にいてもカーテンを開けて、太陽光が入るようにするだけでも効果がありますが、勉強前に散歩をして、外の空気を吸いながら太陽光を浴びる方がより効果的です。

30分ほど、太陽光を浴びるだけで十分と言われているため、勉強を始める前のルーティンとして散歩を取り入れてみましょう。

 

栄養バランスの良い食事をとる

食事は、お腹がいっぱいになれば良い訳ではありません。

栄養が偏った食事は肥満の原因になるだけではなく、イライラしやすくなるなど心のバランスを崩す恐れもあります。

脳内神経伝達物質のセロトニンは、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸を摂取する必要があります。

トリプトファンは牛乳や卵などのタンパク質が多い食材に含まれています。

受験対策の1つと考えて、栄養バランスの良い食事をとりましょう。

栄養バランスの良い食事をとるには家族の協力が不可欠です。

食事の大切さを家族に説明して協力をお願いしましょう。

 

適度に運動する

適度な運動をするように心がけるのも重要です。

体を動かすとストレスが発散できます。

散歩や自転車で走るだけでも構いません。

これらを毎日30分するだけで効果があります。

外に出るのが面倒なら、腕立て伏せや腹筋、スクワットなど室内でできる運動をしてみましょう。

体を動かすと血流が良くなるため脳の働きも改善します。

ストレスの発散と血流を改善するためにも適度な運動を心がけましょう。

 

気分転換するための時間を作る

受験生が受験中心の生活になるのは当然ですが、勉強だけしているのは良い状況とは言えません。

長時間、勉強していると集中力が切れて学習効率が低下します。

また、遊びや趣味など楽しいことを我慢していると、ストレスを発散する機会がなくなります。

日曜日の午前中は勉強しない、この日は友達と遊ぶなど気分転換する時間を作るのはメンタルヘルスでは重要なことです。

趣味や友達と遊ぶ時間を作ることでストレスの発散と気分転換にもなります。

趣味や友達と過ごす時間を作りましょう。

 

メンタルヘルスを理解して受験を乗り越えよう

メンタルヘルスについて解説しました。

受験生はストレスからメンタルが不安定になることが珍しくありません。

気付かない間にメンタルが弱っていく可能性があります。

勉強に集中できない・やる気が起きないなど不調を感じたら、紹介した方法でメンタルヘルスの状態を確認してみましょう。

受験中はストレスと上手に付き合っていかなければいけません。

無理をし過ぎて心が壊れてしまわないよう、メンタルヘルスの重要性とセルフケアの方法を理解して受験を乗り越えましょう。

   

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